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元ネタ「大力の僧が賊をいじめる話」より、おじいちゃん散歩する

時事・その他
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比叡山が西塔にいた実因僧都と言う方のお話です、顕密に通じ力も強かったそうな。

元ネタは「今昔物語」、勝手に解釈!今で考えて見たらこうなりました。

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大力の僧が賊をいじめる話より

おじいちゃん散歩する

おじいちゃんは散歩が趣味だった、おばあちゃんとも死に別れぶっちゃけ暇だからである。
朝には朝に、昼には昼の、夕方には夕方の違う顔を見せる街に飽きることが無かった。
家から5分歩いて行けるお総菜屋さんもそうだ、朝には元気に仕込みをしている奥さんの声と奥さんに指示されてぴぃぴぃと情けない声を出しながらもがんばるお婿さんの声が聞こえる、昼には看板娘と評判のバイトの女の子の力強い声でどんどんお惣菜が売れていく、夕方にもなると追加で出ているお惣菜と残って安くなっているお惣菜に思案顔の主婦が買い物をし、疲れた顔のOLやサラリーマンが一人分のお惣菜を買い求める。
1件のお店だけでも3つの違う顔を見せ毎日聞こえてくる話や顔も違っている、おじいちゃんはそう言った変化も大好きだった。

おじいちゃんは思った、この街は活気があっていい、見ているだけでも年寄りには刺激になって元気を分けて貰える、明るいこの街だけじゃなくて静かな夜の顔もみてみたいなぁ、っと。

でも家族には夜絶対に出歩かないように言われている、平和な街だけど何があるかわからないのだから用心に越したことはない、嫁に行きよそで暮らす娘から厳重に言われていた。
その娘も月に1回電話が来るくらいで年末年始くらいしか遊びに来てくれない、寂しいと思う反面

「夜の散歩に行ってもばれないんじゃないか?」

と考え始めた、そうそう物騒な事も起こるもんじゃない、それに物騒な事が起きてももう十分生きた、あまり生きても娘夫婦の負担になるのでそこそこで妻ちゃんの処に行きたくもあった。

「すぐに死にたいわけじゃない、痛いのも苦しいのも御免被る、でも万が一が起きても妻ちゃんに早く会えるようになるだけ、それはそれでかまわんさ。」

おじいちゃんは楽観的に考えた、実は近所でも有名なラブラブ夫婦だったので妻が居ない事も寂しく、娘が巣立ったのも仕方がないと思いつつも寂しかったのだ、がんばれおじいちゃん、それでも寿命まで生きるんだ!

おじいちゃんは愛用の杖を片手にふらふらと歩き出す、ご飯も食べた、お風呂にも入った、もうやることはやったので寝る前に少しだけ、と思ったのだ。
季節は折しも春、駅前に何本か桜が植えられているので夜桜見物をしゃれ込むつもりだったのだ。
熱々のお茶を入れた水筒も持った、若い頃は同僚たちと夜桜で一杯などとそれなりに遊んでいた気持ちが蘇り少しウキウキしたし、思い出もあった。

「あぁ、妻ちゃんと何回も手をつないで見に行ったなぁ、あの頃に見た桜が一番きれいだったなぁ!」

想い出補正である、大好きな妻と見た桜が一番なのであって桜はそうそう変わっていない、桜にとってもはいつも一番きれいな自分のつもりなのだ。

コツコツと杖を鳴らしながら歩いて行くと一人の男が近寄って声を掛けてきた。

「おじいちゃんこんな時間に一人でどうしたのですか?」

親切心のつもりであろう、優しく声を掛けてくれる。

「駅前の桜が見たくなりましてね、こっそり出かけてきたのですよ。」

穏やかに返事をするおじいちゃん、だがこの希薄になった世の中で親切そうな顔をして話しかけて来る男を少し怪しいと思い言外に一人暮らしでない風を装った。
誰かと暮らしていると言ったわけでもない、こっそり家を出たのも本当だ、近所さんを起こしてしまうのも忍びない、嘘は一つも無いのだ。

「時間が時間です、駅まで私がご一緒しましょう、辛くなったらおぶって差し上げますよ。」

ニコニコと笑う男。

「いやいや、駅はもうすぐです、心配には及びませんよ。」

そう言い置き歩を進めようとしたがふいによろけてしまった、すぐに男はおじいちゃんの二の腕を掴み体制を立て直させてくれた。

「お疲れのようです、どうしても桜が見たいならおぶっていきますよ、さぁどうぞ。」

さっとおじいちゃんに背を向け腕を後ろ手に回した。

「申し訳ない、年寄りの我儘ですのに、では甘えましょう。」

よっこいしょと背に杖ごと自分の手を男の前で組んだ。

「すまんのう、折り畳み式でないので杖はこのままで勘弁して下さい。」

申し訳なさそうにおじいちゃんは男に誤った。

「構いませんよ。」

にこやかに返事をした男だったが先に杖を受け取り自分のベルトに差しておけばよかったと少しだけ後悔した。
男は黙々を歩き出した、駅とは違う方向へ。

「あれ?こちらは駅への道とは違いますよ?あちらですよ?」

おじいちゃんは少し慌てたように男に指摘する、男はなんて事の無いように返事をする。

「おじいちゃんも人におぶわれてるのを見られるのも恥ずかしいでしょう、人目のない道を行きましょう。」

「なるほど、お気遣いありがとう御座います。」

男は内心大笑いをしてしまった、ばかなじいさんだ、これから人目のない処で金をむしり取られるとは知らずに!だがふらりと散歩のような事も言ってたので財布を持っているとは限らない、そうなったら家まで行って物色してやろう。この時間なら寝込みを襲えば十分勝てるだろう。
男は人目のない暗がりまで辿り着くとさっそくおじいちゃんを振り落とすべく手を外した。

「じいさん、降りな!さて、まずはもってる金を全部渡して・・・降りな?降りろ!!」

手を外したはずなのにじいさんはしっかりを背に居た、手に持った杖を首の幅だけ開けて手に持ち替えそれは首へと食い込んでいた、腰もがっちりと足が回り苦しいくらいだ。

「なんて力だ!おい、じじぃ!離しやがれ!」

男はおじいちゃんを振り落とそうと暴れたがどうにも動き辛い、下手に動くと更に自分で首を絞めてしまう、苦しい、腰もなおいっそう絞められてくる。

「なんなんだよじじぃ!離せよ!」

叫ぶも一切力が緩められることは無い。

「甘いなぁ、今時怪我もしてない人間をおんぶしようなんて愁傷な人間には出会ったことがなかったから面白くなってな、さぁさぁ早く駅前まで行って下さいな、私は桜が見たいんですよ。」

口笛でも吹きそうなのんきな声が返って来た、男はじいさんのそんな様子が信じられなく更に叫んだ。

「バカ言ってんじゃねぇ!俺は強盗しようとしたんだぞ、駅前ってなんだよ!普通逃げるだろう!」

道理である、お年寄りが少年ではないが青年と言っていい男から暴力を受けようとしたら通常逃げるか怖くて動けなくなるものである。

「最初に桜を見に行くと言ったじゃないですか、それにあんまり大きな声を出すと誰かに警察に通報されてしまいますよ?」

警察と言う言葉を聞いて男は ハッ となった、うまくいかなかった以上警察に捕まるのは一番御免被るエンディングである。

「ちっ、桜を見たら降りろよ!」

男は駅前に向かって歩き出した、お人よしである、転がってでも振り落とせばいい物をしなかったのである。
男は10分足らずで駅前についた。

「着いたぞ、降りろ!」
やっと解放さされると安堵の思いだった男に更におじいちゃんは声を掛ける。

「次は保育園に植えてある桜が見たいな、あそこは夜桜見物用にライトアップしてくれているんだ、まだやってるかはわからないが観に行くぞ。」
駅前までの約束のつもりだった男は冗談じゃないと大きな声が出る。

「ふざけんな!駅前まで連れてきたんだからもう関係ないだろう!」
手え離し振り落とそうと体を揺するが

「まぁ、あの人おじいちゃんを振り落とそうとしてるわ!なんて怖い。」
「うわ、お年寄りを落っことそうとしてる?え?警察案件?」
などとスマホを向けられてしまう。

終電にはまだちょっと足りない位の時間だったためまだ少しは人目があったのだ、ヒソヒソと話す声が男の耳にも入り警察はやばい!っとおじいちゃんを又背負い直し歩き出した。
慌てた様子の無いように、俺は悪い事してません、のような顔を心がけて。

人口もそこそこいる街である、遅くなったと言っても人はまだいるし大きな声を出せばおかしいと思った近在の家から親閉まれるかもしれない、男はとことん考えが甘かったようである、強盗したかったらひっさらって誰も居ない無人島にでも行くくらいしかしないと成功しないくらい人目も監視カメラもたくさんあるのが街なのだ。
男は諦め次々とおじいちゃんの指示に従う。

「次は2丁目の公園の桜が見たいな、あそこには大きな老木があるんだよ。」
「今度は5丁目の〇×川の岸の桜並木に行こう。」
「やはり桜はいいなぁ、1丁目のビル街の並木道も確か桜だったはず、さぁ行こうか。」

わざとなのか順番に行けば1週周るだけで済みそうな工程をわざと遠くから遠くへと手間がかかる廻り方をする。
(これはじいさんの策略にはまってしまった)
と思うもまったく腰に回った足の力も緩まないし逃げようとする動きをすると瞬く間に杖が首の近くまで迫ってくる。

空がぼんやりと明るくなってきた頃合いに男はたまらず膝をついてしまった。

「もう勘弁して下さい、1歩も歩けません。」

体力が尽きたのであろう、男は地面に四つん這いになり息も荒く項垂れた。

「私はねぇ、高校を卒業してから定年でやめるまで警察官をしてたんですよ、柔道は得意で特に締め技は犯罪者に後れを取ることはないと思ってきてたんです、私はあなたを警察に突き出しますよ、でもあなたもお人好しな所があるようですし体力も力もある、ちゃんと更生して仕事に着いてくださいね。」

おじいちゃんはおもむろにズボンのポケットからスマホを取り出し110番をした、男は動けなくなりそのまま来た警察に連れていかれたのだった。

おじいちゃんも聴取の為に警察に行こうとしたが時間が時間だった為警察官に明日の午後で良いですよと言われパトカーで家まで送ってもらったのだった、しっかりお小言も貰ってしまったが。

「おじいちゃん、自分に自信があっても夜中にあまり出歩かないで下さいね、凶器を持っていたらおじいちゃんがやられてたかもしれないんですよ?」

おじいちゃんは(おこられちゃった~)と思いつつ、やりすぎたな、もう一人で夜出歩くのは止めようと一応は考えた。
でもおじいちゃんは何日か過ぎてすっかりそんな事忘れて又夜中の散歩をし見回りの警察官に怒られ家へと送られるのである。

その後①
娘「お父さん!警察から電話が来た時本当に驚いたんだからね!あんまり勝手な事してるとうちで同居してもらうわよ!」
おじいちゃん「嫌だ~、妻ちゃんとの思い出の家を離れたくない~~~、それにお前はこき使ってくるから嫌だ~~~~!!!」

その後②
警察官その①「俺伝説のおじいちゃんに会ったぜ!あの人だろ、もと警察官でことごとく締め技で落として始末書伝説を作った人!」
警察官その②「あ、俺も知ってる、優秀な人だったらしいけど逃げると必ず締め技で落としてたって、でも優しい人で何回か飯を奢ってもらったことがあるって係長が言ってたぜ?」
警察官その③「今も体力が落ちないように毎日散歩して鍛えてるとかなんとか、課長も あの人は… て頭抱えてたぜwwww」

その後③
?「夫君もうしばらく生きててね~、愛してるけどちょっとかまってちゃんでうざいのよね、まだ暫く一人でのんびりしてたいの~。」


感想

今は道にはほぼ街灯がありスマホを持ってない人を探すことの方が難しいと思ってます、目もカメラもそこかしこで強盗して逃げれるとは到底思いません、ですが昔は「黄昏時」があり一切の闇の中の出来事になってしまったんですよね、江戸時代だったかな、確か提灯もそれなりの身分がないと持てなくてあげく商人か武士かなど違いで何個までと決められてたこともあったそうです、やっぱり明るいって言うのは犯罪抑止力になりますよね。

カメラは守るカメラ、晒すカメラと色々ですがSNSなどの発展でどこで誰が何してた、が容易に分かってしまいます、取りあえずカメラに守られる側の人間でありたいなっと背筋を伸ばすも思いにもなりました。

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りっくう
りっくう

最後までお読みいただきありがとう御座いました。

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